見たいものだけ描く、見たいものを想像して描く
葛飾北斎の娘、お栄さん、葛飾応為の「吉原格子先之図」が見たくて、太田美術館
で開催の「葛飾北斎 冨嶽三十六景 奇想のカラクリ」に行って来ました。

提灯の灯りに浮かび上がる吉原の格子窓、シルエットで描かれている
花魁、格子の厚みが立体的に盛り上がるような筆遣い、洋画と見まがう感じ。
サイズ的にまったく違いますが、暗闇に浮き上がる人々を見ていると、
アムステルダムの美術館で見たレンブラントの「夜警」のイメージが
ふと浮かんてきました。
それにしてもお栄さんの絵、世界的にも10枚程度というのが、惜しい。
父北斎の美人画の代作をしたとも言われているそうですが・・・。

「冨嶽三十六景」は北斎美術館でも見ていましたが、今回はサブテーマ(?)
を「奇想のカラクリ」として、36景(46景)を「大胆な嘘」、「定番を外す」など
の描き方や発想のカテゴリーに分けて展示していたのが、印象的。
同じ絵を見たはずなのですが、説明を読みつつ、絵を見つつすると、じつは
地形的には夾雑物があって、すっきりと見えない富士を大胆に描いたり、
構図的にこんな組合せはないはずなのに想像を膨らまして描いた富士が
あったりして、また違った視点から36景(46景)を見られました。
場所柄海外からの入場者もずいぶん見かけましたが、絵によっては英語
による説明がないものもあり(勉強のため、英語の説明は全部見るように
しています)、絵は見て楽しむものとは言え、海外からの来訪者にも今回の
企画展示のからくりが分かれば、もっと楽しめるのではとちょっと残念でした。
あべのハルカスの北斎も見たいな


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